黄龍(こうりゅう)は中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州松潘県にある景勝地です。「黄龍の景観と歴史地域」としてのユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されています。絶滅危惧種であるジャイアントパンダや金糸猴の貴重な生息地でもあり、2000年にユネスコの生物圏保護区に指定されました。黄龍(こうりゅう)は岷山山脈の南側に位置しており、四川省の省都成都から北に約230km離れている。
黄龍は、岷山山脈の一部である玉翠山の山頂(標高約5100m)から北に向かって伸びる全長7.5kmの峡谷(黄龍溝)であり、世界有数のカルスト地形です。新生代第四紀に隆起した石灰岩層が氷河に侵食されて巨大な峡谷となり、そこに石灰分の豊富な水が流れ続けた結果、石灰華の沈殿したエメラルドグリーンの美しい石灰華段を始め、黄金色に輝く石灰華の層、そして石灰華の滝や谷が形成されました。
黄色がかった乳白色の石灰華の連なりは、雪を頂いた山脈を昇ってゆく黄色い龍の姿に例えられます。同風景区は中国唯一、非常に良い状態で残っている高原湿地帯であるとも言われます。
黄龍全体のうち、麓の「迎賓彩池」(標高3199m)から「五彩池」(標高3553m)までの約3.7kmの区間が風景区として整備されています。水の色は場所によって黄色、緑色、青色、茶色と様々に変化して見え、晴天時は日光と相まって金色に輝きます。中でも風景区最奥部にあり黄龍最大の石灰華段である「五彩池」、そして2番目の規模を持つ色彩鮮やかな「争艶池」は必見です。また、「金沙舗地」(標高3281m)は1500mの長さを持つ世界最長の石灰華層として知られています。車道は無く、木製の遊歩道を徒歩のみで移動します。遊歩道のうち麓に近い区間は上り用と下り用に分けられています。往復4時間(上り2.5時間、下り1.5時間)程度の距離ですが、標高が高いうえ高低差が大きいことから高山病に注意すべきです。2006年8月にロープウェイが開通した。景観を考慮してロープウェイの2駅はいずれも遊歩道のコースからかなり離れたところに設置されています。それでも、上りにロープウェイを使うことで一気に五彩池とほぼ同じ標高まで到達できますので、格段に便利になったと言えます。
また、黄龍風景区の年平均気温は2-3度、最も暑い7月の平均気温は10-11℃、最も寒い1月の平均気温はマイナス8-9℃です。雪解け水の多い7-10月がベストシーズンとされ、紅葉で山が赤く染まる10月が特に人気があります。ただし、夏季は天候が不安定(7月の降水量は100mmを越す)なので雨具と防寒具は必須ですので、ご携行ください。